阪口 実和子
お別れとしての“お葬式”のために
お葬式とは故人様のための儀式であり、同時にご家族が大切な方とのお別れをする場でもあります。だからこそ私は、ご家族が安心してその時間を過ごせるよう、温かく寄り添う対応を大切にしていきたいのです。
幼い頃から絵を描くのが好きでした。始まりは真っ白いキャンパスに走る、一本の線。
それが積み重なり、やがて一枚の絵となったときに得られる、言葉にできないほどの達成感が好きなのです。
そうやって絵を描いていく中で浮かんだ疑問が、ながたに生花に入社することへと繋がっていきました。それは、西洋美術に描かれる宗教的なモチーフへの疑問でした。なぜ人は祈るのだろうか。なぜ長い年月が経っても、同じ儀式が受け継がれているのだろう。
目に見えないものを信じ、多くの人が同じ行為を続けていることに興味を惹かれたのです。
儀式に関わることでその疑問を解き明かしたい。そう考えたとき、一枚の求人チラシが目に留まりました。それが葬祭業を営む、ながたに生花との出会いだったのです。
入社してからはお葬式について説明を受け、先輩たちの姿から業務を学んでいきました。
印象的だったのは、話し方です。ご家族と話す際は声のトーンを柔らかくし、まるで気持ちに寄り添うように接していました。
そんな先輩たちの姿を見て、私はお葬式に存在する、新たな側面に気づきました。
その側面とは、お葬式は儀式というだけではなく、ご家族が故人様へ感謝を伝え、これから先へ進むためのお別れの場でもある、ということです。
だからこそ、先輩たちの持つ温かさが重要となってくるのだと気づきました。
そして自然と、自身が心がけるべき事柄も浮かんできたのです。
大切な人を失った直後は、気持ちの整理がつかないことも少なくありません。
そうであるならば私は、ご家族が安心してその時間を過ごせるようにお手伝いをしたい。
不安や戸惑いを少しでも和らげ、心から故人様とのお別れの時間に向き合っていただきたい。そのために、温かく寄り添う姿勢を大切にしていきたいと思っています。
私の業務は清掃とお葬式の補佐です。なかでも、あるお葬式での出来事は今でもはっきりと記憶に残っています。
担当者が故人様のお好きだったお弁当を用意し、棺に納めて差しあげたのです。
ご遺族様はそれをご覧になり、「好きやった弁当や」と笑顔を見せてくださいました。
お葬式を「儀式」だけで終わらせず、故人様とご家族がお別れできる場にする。それこそが私たち葬儀社の役割なのだと強く実感しました。
私がなりたいと考えているのは、先輩たちのような、お客様にとって頼りがいのあるスタッフです。普段の言動や話し方に気を配り、人として信頼していただける存在になる。
よりよいお葬式を支えられるように、自分にできることを精一杯続けていきたいと思います。

